主将の西村車に乗り、颯爽と帰路につく。
家に帰るまでが卒部旅行。
思い出に浸りながらも自分と向き合います。
4年の岡本勇輝です。
何を書こうか、何から書こうか、
心の声を正確且つシンプルに伝える言葉が見つからず、
書いたり消したりを繰り返しています。
これまでの人生、
感謝すべき人達が沢山います。
僕は直接伝えるので、ここでは割愛します。
サッカーは僕の人生そのものでした。
物心ついた頃から父と兄、僕の3人でボールを蹴り始めました。
褒めてくれる父と優しく見守る母、ライバルの兄、ボールを蹴ることが楽しくて仕方ありませんでした。
こうしてサッカーにのめり込んだのです。
幼稚園の卒園アルバムには、
将来の夢はプロサッカー選手と書き記されています。
家族のおかげで夢を持つことができました。
小学生になると、
友達とサッカーをするようになりました。
少年団の仲間と一緒に、放課後公園に行っては自転車でゴールを作り、試合をする。
これがまぁあ楽しくて、無我夢中でした。
土日はそんな仲間と共に練習や試合を重ね、まさにサッカー漬けの日々。
この時の僕は天狗で、周りよりサッカーが上手な自分に酔っていました。ガキ大将のような振る舞いをしていたこと、反省しています。
そんな天狗の鼻をへし折られたのは中学時、
横浜FCジュニアユース入団後、
どでかい壁にぶち当たった時でした。
周りに比べて圧倒的に成長の遅い僕は、体が小さすぎて、足が遅すぎて、何もできなくなりました。
それでもサッカーを嫌いにならなかったのは、人に恵まれていたからです。
僕を勇気づける言葉をかけてくれた父、これ以上ないサポートをしてくれた母、休みが合えば一緒にボールを蹴ってくれた兄、どんな時も僕と向き合ってくれたコーチ、サッカーに情熱を注ぐ仲間、僕に期待してくれる学校の先生や友達、みんなのおかげです。
みんなのおかげで夢を追うことをやめませんでした。
横浜FCユースに上がれた僕を待っていたのは、相変わらず壁でした。
中学時とは違い、3学年合同で活動するユースでの1年時は、身体的な差が歴然でした。言うなれば子供対大人。怖かったです。学年が上がっても試合に出れない日々、同ポジションに自分より圧倒的に優れた仲間がいることに対する劣等感、僕の心を育てるには最高の環境が整っていました。
ユースでの3年間で、どんな状況もポジティブに捉え、どんな時でも前を向く、最強のメンタルを手に入れました。
「4年後、プロサッカー選手になって体の小さな子供達に夢や希望を与えます」
これは4年前、横浜FCユース卒団式で僕が涙ながらに言い放った言葉です。
専修大学体育会サッカー部での4年間、
この目標を実現すべく、プレイヤーとしての自分と向き合い続けました。
幸いにも1年時から試合に使って頂き、
大学サッカートップレベルの関東リーグ1部で4年間戦い続けました。
ですが、敵いませんでした。
約20年間目指した世界にはたどり着きませんでした。
プロサッカー選手って、凄いです。
こうしてプロを目指した僕のサッカー人生が終了しました。
そんな僕の強みは、やはり心です。
「プロサッカー選手にはなれなかっけど、
幸せ者になれたよ」
これは先日、母に宛てた手紙で僕が書いた、プロサッカー選手になれなかった自分を美化する言葉です。
ですが本当に、今僕は、心の底から幸せを感じています。
人生そのものだったサッカー、
約20年間目指し、全てを注いだプロ入りへの挑戦、
それが達成されなかったにも関わらずです。
夢を持ち、それを追うことで、僕は幸せになれました。
全ての過去に感謝します。
大学サッカーには、人が育つ環境が整っていました。
専修大学体育会サッカー部も例外なくです。
気づきによる人間的成長の場が溢れていたのです。
挨拶をしても返事をしない先輩のおかげで、
挨拶の持つ力の大きさを知り
十人十色の価値観を持った仲間のおかげで、
他人をリスペクトする心の温かさを知り
暑くても寒くてもボトルに水を汲むマネージャーのおかげで、誰かのサポートをする人の偉大さを知り
無給でリーグ戦運営をする学連のおかげで、自分が輝ける環境は誰かが提供してくれていることを知りました。
他にも沢山あります。
あらゆる方向にアンテナを張ると、
今まで見えてなかったモノが見えてきます。何事もです。
僕は3年時から副主将を務めさせていただきました。
肩書きは関係ないと思いながらも、
その立場を意識しなかった日はありません。
大した実力もなく、プレーでチームを引っ張ることができない自身を認めた時から、人柄でカバーしようと考え出しました。
誰よりも声を出し、誰よりも明るく振る舞うこと、
後輩と積極的にコミュニケーションを図ること、
率先して仕事をすること、
僕にできることをやろうと。
今シーズン、
本気で3冠を目指した中での僕らの成果。
もどかしさと共に自分の無力さを痛感しました。
でも大丈夫です。
こうした感情が生まれた後、
決まって僕は前進します。
このサイクルは、
今までの僕が証明しています。
間違いないです。
サッカー部での4年間、
最高に楽しかった。幸せだった。
人間の持つ喜怒哀楽の全てを味わいました。
4月から新しい世界に挑むことになります。
不安は一切ありません。
サッカーしかしてこなかったという見方もできます。
ですが、僕が自身を卑下する必要はありません。
これまで本気で取り組み、本気で向き合ったそのパワーを、思う存分発揮します。
〜少年よ大志を抱け〜