寒い季節になると私の家は日当たりが悪くなる。夏至を過ぎると太陽の通り道は低くなるため、陰が伸びるのは必然的といえる。日の当たり方の変化を「夏」と「冬」の大きな単位で見ると「違い」を明らかに捉えることができる。しかし、実際太陽は毎日少しずつ動いており、少しずつ陰の伸び方も変化している。毎日些細な変化を催しているわけだ。
申し遅れましたが本日ブログを担当させていただく2年の手塚文登です。決して新生活をスタートする人に向けて、物件を選ぶ際のアドバイスをしたいわけではありません。笑 ではなぜこんな始め方をしたのか。意味があるのでお付き合いください。
父と何気ない会話をしている際に、出勤の話になった。父は毎日早朝に出勤している。そこで私に話してくれたのは、「毎日少しずつ明るくなるのが早くなってておもしろい」と。これを聞いて、懐かしい感覚になった。1年生の時、朝練の準備のために暗い時間に自転車を漕いでグラウンドに向かっている際に感じていたなと。懐かしい感覚だったのは、2年生になってからそんな些細なことを感じてもないし感じようともしていなかったから。覚えのないうちに毎日の少しの変化に気づける能力が鈍っていた。
この毎日の些細な変化に気づける能力とはなにか。それは「感性」である。感性はサッカーにおいて、とても重要な能力の1つ。もしかすると1番大事な能力かもしれない。現代において、サッカーは考えることが重視されがちだが、「感性」と「感覚」が重要となる局面の方が多い。そもそも、感じることができなければ考えることもできない。極論、感覚だけで全てできてしまえば考える必要もない。
危機察知能力が高い選手、立ち位置が良い選手、いるべき場所にいる選手、セカンドボールを拾える選手、予測ができる選手、駆け引きが上手い選手、タイミングが良い選手は、感覚的な感性が鋭い人だと思う。ましてやサッカーはチームスポーツであり、1人が自己中心的にやるものではない。味方のプレーや動き、感情を予測したり感じたりする感性によって、「何かが伝わり合う」ことがチームワークとなり、勝利に繋がっている。
サッカーだけでなく他のスポーツにおいても、感性の重要度は高い。0.01秒、1センチという僅かな差を争う陸上はやり直しがきかない競技であり、僅かな違いが命運を分ける。そのため、陸上競技の選手は感性がものすごく高い人が多く、ちょっとした違いに気づいたり、良いものはいいと感じ取ったりする能力が優れている。
元プロ野球選手のイチローさんも感性が鋭い。自らの成績が順調に出ている段階でも感覚の狂いに気づき、データとして表面化したり、フォームの狂いが目に見える形に現れたりする前に修正したりする感性を備えていたそうだ。だからこそ、スランプがほとんどなかったという。
私は前回のブログでも述べたように、夏の調子が上がっている時期に膝の大怪我をした。現在も早くサッカーがしたいと思いながら、リハビリを続けている。あの時、些細な変化に気づけていたら、心と体のバランスが崩れていることに気づけていたら、感性が鋭ければ、自爆するような大怪我は防げたのかもしれない。感性の欠落によって私は大怪我をしたといっても過言ではない。それだけ「感性」というものはサッカー、スポーツにとって重要な能力なのである。
この怪我をしなかったら、「感性」の重要性に気づけなかった。だから今は怪我をして良かったと少し思える。
よって、今年に限らずこれからの人生、まずは自分の感性や感覚を磨く。感性をサッカーに生かすのは勿論、サッカー以外での人との繋がりや日常生活にも生かす。小さな変化や些細なことに気づけるような人間を目指していきたい。そして、他人の感性や感覚も大切にできるようになりたい。
仲間が新人戦全国優勝をして、新シーズンもスタートしており、強い焦燥感に駆られている今の私は、言わば「陰」だ。しかし、幸い自分次第でどうにかできる陰である。自分の中の小さな変化に気づきそれを積み重ねれば、長い目で見たときにそれは大きな「違い」になっているはずだ。やがて、日が当たるようになると信じて。
PS 今日は昨日より少し寒く風が冷たい。
最後まで読んでいただきありがとうございました。これからも専修大学サッカー部の応援よろしくお願い致します。