主将という立場にここまで苦しめられるとは思ってもいなかった。
小学五年から始めたサッカー人生の中で主将を務めた経験は一度もなく、自分自身初めての挑戦だった。
2021年後期、立教大学に負けて県リーグに降格することが決まった瞬間、生まれて初めて自分の未来が見えなくなった。
その日の夜、同期で湯船に浸かっていた時の会話を鮮明に覚えている。
・俺たちどうなるんだろう
・サッカー続けるの?
・プロは無理だよ
・就活本気だすわ
何も言えなかった。
自分もそうだったから。
プロサッカー選手になるという夢を口にすることが恥ずかしかった。
高校の同期や大学で戦っていた友人がプロの世界で活躍しているのを見て悔しがっていた自分が、いつしか素直に応援する側に変わっていた。
新シーズンが始まり、自分の中での優先順位が
「プロサッカー選手になること」から
「後輩たちを関東リーグの舞台に立たせること」 に変わった。
その為に何が必要か模索する日々が始まった。
新チームが始動し、チームをまとめることは出来ず、全員のサッカーに対する熱量はバラバラだった。
天皇杯予選も負け、雰囲気も最悪。
チームも勝てず、自分が何か発信しても説得力はなく、付いてきてくれる後輩はいない。
自分には、嫌われる覚悟で周りのケツを叩き、厳しい言葉をぶつけることしか出来なかった。
アミノバイタルカップ直前、監督と揉め主将をクビになると思った。勝ちたいが故に、監督が指示したフォーメーションに対して納得がいかないと反抗したからだ。
結果、首位を争っていた神奈川大学に敗戦し、監督、チームメイトからの信頼を失った。
何事もうまくいかないラストシーズン。
・最後くらいみんなでいい思い出残したいな
・勝ち進めばもしかしたらJのスカウトの目に留まるじゃね
・格上倒して県リーグ注目してもらおうぜ
少しだけ期待し、覚悟を決めて臨んだアミノバイタルカップ
この大会が終わってプロチームからオファーを貰えなければ、内定承諾メールを企業に提出するつもりだった。
東洋大学、早稲田大学と関東一部リーグの相手に3-0、2-0と無失点で勝つことができた。
その後法政大学に敗れ、部活内に体調不良者が出た為、棄権となった。
あと一勝で全国というところまで来ていたが、ここで終わるのも今年の自分たちを象徴しているようだった。
ただこの大会で自分たちはこれまでやってきた苦しい走り、練習を格上相手に勝つことで証明することができ、同時にサッカーというスポーツの面白さを思い出し、チームとしての団結力が生まれた気がした。
結果、アミノバイタルカップでのプレーをヴァンフォーレ甲府の森淳スカウトに評価していただき、練習参加することになった。
その後正式にオファーをいただき2023シーズンよりヴァンフォーレ甲府という素晴らしいクラブに入団することが決まった。
どん底にいた自分をプロの世界に導いて下さった森さんへの感謝の気持ちを忘れず、大学時代身についた雑草魂で、何度踏まれても立ち上がり甲府のゴールを守ってみせる。
後輩たちには、関東二部リーグという舞台を用意することは出来ず申し訳なく思ってる。
ただ誰一人手を抜くことなくサッカーに打ち込んだ四年を見て少しでも何か得られるものがあったら嬉しい。
村上千歩 新主将 なら関東一部リーグ経験者としてチームを二部に戻してくれるはず。
頑張れよ。期待してます。
これからも専修大学体育会サッカー部の応援、後輩たちの応援をよろしくお願いします。
四年間ありがとうございました。