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部員ブログ

2023.11.27
窪谷亮佑
引退ブログ(2)

引退ブログ。毎年素晴らしい文章を書いてきた先輩方に憧れて、何週間も前から原稿を書いていました。

 

気が付けば文字数は1万を超え、小説のような文章が広がっていました。昔から文章を書くのだけは得意で、あることないことスラスラ書いてしまいます。

この才能は就職活動の際にかなり役に立ちました。あまり言わない方がいいかもしれませんが。

 

しかし、このブログには全く役に立ちませんね。

出来上がった文章には、素直な気持ちが全く書かれていませんでしたから。

 

だから前日に一から書き直すことにしました。かっこつけずに、自然体で。

 

これが本当の引退ブログです。

 

 

 

 

人には必ず、モチベーションの波がありますよね。

例えば私は、この文章を書いている時と卒業論文を書いている時で、やる気がまるで違います。

 

しかし、個人の気持ちとは関係なく人には必ず、やらなくてはいけないことが存在します。

そんな時、皆さんのモチベーションの源泉は何でしょうか。

 

ライバルに勝つため。出世するため。成長するため。大切な人のため。モテるため。

色々考えられますね。

 

 

私は、「褒められるため」です。

 

世の中にはこんなことわざがあります。

「好事を行いて前程を問う勿れ」

見返りを求めるような善行では価値がないという意味ですね。

 

そうです。私は最低です。

 

小学生の頃からとにかく褒められるのが大好きで、家でお手伝いをしたり、授業で何度も手を挙げたり、電車で席を譲ったり…褒められるためだけに色々なことをしました。

 

中でも一番褒められて嬉しかった瞬間は、サッカーの試合でした。

 

私は、グラウンド上で常に一生懸命走ります。

 

小学1年生。誰もがサイドラインを割ると思い諦めたボールを、1人で最後まで追いかけて追いついた時、両親や監督から受けた称賛を忘れることはありません。

思い返してみると、この瞬間に私のプレースタイルが確立されたのかもしれません。

 

体がきつい日も、ピッチコンディションが悪い日も、真夏でも真冬でも、チームのために走ることができます。なぜなら、みんなが褒めてくれるからです。大学生となった今でもこの姿勢は変わりません。

 

 

しかし、私には大きな欠点があります。

 

小学生で初めてトレセンに選ばれた際、私のプレーなんて見向きもせず、ギラギラした目でプレーするライバルたちに圧倒されました。そして、褒められるどころか、同い年から平気で罵倒された私は「トレセン恐怖症」に陥りました。

 

夢の国ディズニーランドにて、次回トレセンの合格通知を受けた際には、ジャングルクルーズに揺られながら号泣したことを覚えています。

 

 

お察しの通り、欠点は「褒められないと自信が持てない性格」です。

 

私と共にプレーしたことがある方はよく知っていると思いますが、私はプレーに文句を言われたり、怒られたりするとどんどんプレーが悪くなります。

簡単なミスが増えて、視野が狭くなって、走る距離も減っていきます。

 

幼少期から不純な理由で行動してきた報いですね。

この心の弱さには昔から苦しめられています。私なんて下手くそで何もできないじゃないかと自責の念に駆られます。

 

しかし、そんな時いつも力をくれる言葉があります。

 

 

「お前のプレーを見ていると、力が湧くよ。」

 

これはある先輩から言われた言葉です。

初めて言われた時はピンときませんでしたが、少し考えてみると簡単なことでした。

 

何か物事に取り組む際、周囲に自分より頑張っている人は必ずいて、「そういう人」からは良い刺激を受けますよね。

自分ももっとやらなくてはいけない、もっとできるはずだ。

そんな経験誰しも一度はあると思います。

 

俯瞰的視野から推察すると、とにかく走りまくっている試合中の私は、いわゆる「そういう人」です。

 

自分が走り続けることが、味方を奮起させる。自分が最後まで闘うことが、味方に強い意志を与える。

己のために行動していたはずが、知らず知らずのうちに周囲に力を与えているのだと。

 

この気づきが、苦しむ私に勇気をくれました。

そして、自信が持てない私の一歩を支えてくれます。

 

 

 

【熱は伝導し、組織を変える。】

 

 

これは私が胸に刻んだ大切な学びです。

 

あと数カ月が経ち、社会に出れば周囲から褒めてもらえることなどほとんどないでしょう。理不尽なことだらけで、自信なんて無くなる一方かもしれません。

 

しかし、どこかで私の行動を見て力を得ている人がいるかもしれない。誰かの一歩を支えているかもしれない。

そんなことを想像すると、ほんの少しだけ頑張れる気がします。

 

サッカーと同じように、私の熱で周囲に良い刺激を与えられるように一生懸命努力していきたいと思います。

 

 

さて、世の中にはこんなことわざがあります。

「情けは人の為ならず」

人に対して情けをかけておけば、巡り巡って良い報いが返ってくるという意味ですね。

 

 

私のモチベーションの源泉は、「褒められるため」。それは変わりません。

しかし、どんな動機であれ行動に移せたのであれば、それは誰かを救う善行であり、私にもきっと良いことがあると言い聞かせることにします。

 

 

日本では、見返りを求めずに行動することが美徳とさせる傾向があります。

しかし、実際にはそんなに立派な人の方が少ないのではないかと思います。

皆さんもあまり深く考えすぎずに、日頃頑張っている自分自身を少し褒めてあげてはいかがでしょうか。

 

 

これで私の引退ブログは終わりです。最後まで目を通していただき本当にありがとうございました。

 

先輩方の様なブログを書けたかどうかはわかりませんが、嘘偽りない私の気持ちを表現する場をいただけたことに感謝しております。

 

今後も専修大学サッカー部の熱い闘いは続いていきますので、応援の程宜しくお願いいたします。

4年間ありがとうございました。

 

窪谷亮佑

 

 

両親へ。

普段機会がないのでこの場をお借りして感謝の気持ちを伝えたいと思います。

 

私は幼少期から心身共に弱く、人一倍心配をかけてしまいました。

 

小学4年生で心臓の手術をした時は、苦しむ私を支え続けてくれていたにもかかわらず、たくさん当たってしまったことを覚えています。手術によって精神的に不安定になり、学校にも通えなくなった時期は、不安でいっぱいだったと思います。でも、学校の前まで行くだけで褒めてくれて、家でずっと一緒に遊んでくれたことが嬉しくて仕方ありませんでした。サッカーも遊びも全力で楽しめる状態まで回復したのは、厚い支援のおかげです。

 

中学では、「コーチが優しそうだから。」という理由だけでFC.GIUSTIへの入団を決めてしまった私に何も言わず、資金面の支援や軽食づくりで支えてくれました。練習の度に、封筒から1000円を抜いてPASMOにチャージしていた時は、罪悪感と共に感謝の気持ちを抱いていました。運動誘発性喘息を発症した時も、色々な病院を探してくれて、私がサッカーに集中できるようにしてくれました。塾にも通わせてくれたおかげで、学力の基礎が身に付いていて今とても助かっています。

 

高校では、青森の地へ飛び込み、厳しい現実にぶつかった私をずっと支えてくれました。想像を超える上下関係や雪の量、半月板の手術や原因不明の呼吸困難と、私がずっと心配をかけ続けてしまったことで、眠れない夜があったこともちらっと聞きました。選手権で活躍する姿を見せて安心させることができなかったことは、今でも悔しいです。今思い返しても辛い事がほとんどだったけど、最後まで辞めることなく卒業できたことは紛れもなく二人のおかげです。

 

大学では、環境面で支えてくれました。授業料や家賃、部費など、4年間でどれだけの費用がかかるかは理解していましたが、私のために嫌な顔一つせずに応援してくれました。全治半年以上の怪我を2回したり、嘔吐反射が止まらなくて練習ができない時期があったりと心配をかけ続け、その度に私より色々なことを調べてくれて、なんとか助けようとしてくれた姿勢には本当に感謝しています。プロになってほしかったはずなのに、Bチームを自ら選んだことを叱るわけでもなく、Iリーグの応援に何度も来てくれた時は嬉しかったです。国体に出場できたこと、リーグ終盤に勝利した姿や得点した姿を見せることができたことで、少しだけ恩返しできたかなと思います。

 

 

今までを少し振り返りましたが、これまで受けた恩に対してまだまだ何も返せていないと思っています。また、こんなに良い環境で育ってこられたことは当たり前じゃないと理解もしています。

少しずつ親孝行していきたいと思っているのでもう少しだけ待っていてください。

これまで注いでくれた愛情が今の私をつくっています。本当にありがとう。

いつまでも心配をかけ続けると思いますが、これからもよろしくお願いします。

二人の息子で良かったです。

 

亮佑

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