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2020.03.20
岡田望
多文化共生社会

こんにちは!

今回ブログを担当させていただく新三年の岡田望です。先日、成績発表があり、二年生までに取れる全ての単位を取得できたので、三年生では、空いた時間を読書や資格の勉強に費やそうと思っています。さて、近況報告はこの辺にして、今回は「プロサッカー選手になる」という夢の傍らで、継続してきたもう一つの活動について綴りたいと思います。拙く複雑な文章ではありますが、最後まで読んでいただけると幸いです。

 

 

「多文化共生社会を実現させたい。」

 

この想いを抱いた原点は、小学六年次に岡山県選抜として「埼玉国際ジュニアサッカー大会」に出場したことにある。私は、この大会まで海外経験がなく、初めての「外国人」という存在に漠然とした不安と怖さを抱えたまま試合に臨んだ。しかし、試合をしてみると、彼らは私と何も変わらない、サッカーに情熱的な普通の少年だった。私たちは、サッカーを通じて互いを尊重し、試合後には食事を共にして交流を深めた。そして、彼らは別れ際に「ありがとう」という言葉を日本語で掛けてくれた。この瞬間、スポーツという「非言語コミュニケーション」には、言語や文化などの壁を乗り越え、偏見を取り払う力があると小学生ながら強く実感した。

 

加えて、中学一年次のフィリピンからの転校生との出会いも想いを抱くきっかけとなった。日本に来て間もない彼女は、日本語が上手く話せず、クラスメイトも私も次第に彼女を避けるようになっていた。結局、彼女は学校に馴染めないまま中学生活を終えた。彼女は、言葉や文化などの違いから過酷な現実に対処できず、不安に駆られ、苦悶し、精神的に憔悴しきっていたのである。何故、小学生の時に国際交流の素晴らしさを経験したのにも関わらず、彼女とクラスメイトを繋ぐ架け橋になれなかったのか。自分の無力さを痛感し、後悔に苛まれた。この時から彼女のような在日外国人を一人でも減らしたいと強く想うようになった。

 

このような想いを抱いた私はまず、幅広い知識を身に付ける為に数多くの本を読み漁り、1万字を超える研究論文を作成し、在日外国人の現状を整理した。更に弁護士の北村聡子さんやジャーナリストの安田浩一さんを始め、外国人の権利保障に取り組む数多くの方々への取材や議論の機会を積み重ねた。加えて、多くの在日外国人児童が集まる多文化共生センター東京荒川校において、数学や英語を教えるなどのボランティア活動に半年以上に渡って取り組み、彼らに寄り添い続けた。その中で、やはり在日外国人にとっての大きな壁は、「言語」であると痛感させられた。多言語対応や日本語教育の不足は、在日外国人児童の教育を受ける機会を阻み、自己実現の機会を奪っている。具体的に、在日外国人児童の高校進学率は、50%を切ると言われており、大学進学率20%という厳しい現状が存在している。更に外国人が抱える問題は、社会保障や労働問題、差別問題など、多岐に渡る。しかし、このような現状に対して日本は閉鎖的かつ排他的で帰属意識が強く、外国人労働者による雇用減少や犯罪増加による治安悪化を懸念する国民世論が強いため、選挙権を持たない外国人への政策は前進しない。事実、2019年4月に出入国在留管理庁が発足し、外国人労働者の受け入れや訪日外国人の拡大体制を強化したが、日本人女性や高齢者の社会制度の整備が優先だという世論が根強い傾向にある。また、言語教育支援を行い、たとえ言語コミュニケーションが図れたとしても「拙い日本語で通じるのか」という言語レベルへの不安から自ら日本人と接するようになるとは限らない。つまり、根本的な問題解決とは、在日外国人が「自然に」日本人と馴染めるようなきっかけを作ること、そして日本人が持つ在日外国人への偏見をなくすことで、彼らを支援する政策が前進するような環境を創ることだと考えている。

 

そこで、私はスポーツの「人と人を繋ぐ力」を最大限活用できると期待している。具体的には、学校の体育施設開放やスポーツイベントの開催、地元クラブの応援・支援など、多岐に渡ったスポーツを通じた国際交流を地域社会で実践する。スポーツ交流を行う時期としては、小学生年代が望ましいと考えている。というのも、この時期の子供はゴールデンエイジと呼ばれ、物事の吸収が非常に早く、この年代から異文化に積極的に触れることで、私が経験したように外国人に対しての偏見を早く取り除くことができると考えられるからだ。また、子供がスポーツに取り組むことで、親のサポートが加わり、親世代のコミュニケーションにも繋がると推測している。更に学校や地域住民の理解や協力を得ることができれば、スポーツを「する」だけでなく、「観戦」や「支援」といった形でも交流を生み出せるのではないかと考える。しかし、この仮説はまだ妄想の域を超えず、持続可能な取り組みにするためには、マネタイズの課題や浸透させる術が必要になる。

 

現在私は、法学部で法律や政治などを勉強し、スポーツのみに固執しない幅広い視点から多角的なアプローチを模索している。この四年間で、幅広い知識と教養、多角的な視点を養い、将来的にどの立場からのアプローチになるかは分からないが、そこで得た叡智を還元することで、「日本人と外国人が互いを尊重し共に生きる社会」の一翼を担い、彼らの役に立ちたいと強く思う。

 

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。今年度も専修大学体育会サッカー部の応援の程、宜しくお願い致します。

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