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2022.11.12
野村勇太
拝啓 夢を追いかけている僕へ

拝啓 夢を追いかけている僕へ

 

あなたは兄の影響もあり、5歳からサッカーを始めましたね。この頃はひたすらボールを追いかけていました。きっとボールが大好きだったのでしょう。兄とあなたが公園でボールを蹴っている様子を眺め、祖父は呟いたそうです。「汰生(兄)は才能があるが、勇太はだめだなこれは」と。サッカー無知識の野球大好き祖父が呆れるほどの運動神経とセンスの無さだったのでしょう。そんなあなたが小学校から高校の間で広島県選抜に選出され、キャプテンを務め、日本トップレベルの大学でサッカーをすることに挑戦するとは誰も思っていなかったでしょう。もしかするとあなた自身も予想できないサッカー人生だったのかもしれませんね。サッカーはあなたを変えてくれました。

 

あなたは小学生になるとクラブチームで本格的にサッカーに打ち込む日々が始まりましたね。怪我や引っ越しの影響でチームが変わることもあったけれど、変わらずサッカーが大好きで仕方なかったあなたは、朝起きると学校に行く前に公園で1人でサッカーをしていましたね。そして学校が終わると走って帰り公園でサッカーをして、さらにその後にチームの練習に行くという日々を送っていました。当時「努力」をしているつもりは全くなかったと思います。「好きこそ物の上手なれ」という言葉があるように、ただひたすらにサッカーが大好きで仕方なく誰よりもボールを蹴っていたこの時期が一番自分を成長させたのでしょう。そして念願のトレセンに参加させて頂き、結果として広島県代表にも選出して頂き貴重な経験を沢山しましたね。これまで自分に自信が全く無かったあなたは、この経験で自信というものを手に入れました。小学校サッカーは総じて辛いことも沢山あったけれど、そのお陰で次のステップに自信を持って進むことができる良い経験になりましたね。

 

そして、中学校では地元のクラブチームに入り、これまでよりレベルの高い環境でトレーニングができ、日々成長の毎日を送ったことでしょう。中学校で更にサッカーが好きになったことを鮮明に覚えていると思います。練習が週2日しかないことをチームに不満を持っていたくらいサッカーが楽しかったのでしょう。しかし、ここでは多くの方々にも迷惑をかけました。人としても学び、成長できた3年間だったと思います。サッカーではチームのリーグ昇格に貢献。広島県選抜としても活動させて頂き更なる成長ができたことでしょう。早朝や遅い時間の送り迎えや、お弁当を作ってくれた家族には心から感謝ですね。

 

そして中学卒業を迎えるあなたに人生最大の選択が訪れます。卒業後の進路です。サッカーで県外の強豪校に挑戦するのか。地元の高校に残るのか。結果的に地元の高校に入学したあなたは高校1年生から試合に起用して頂き、3年生ではキャプテンも務めましたね。強豪校に行った友達達に絶対負けたくなくて、憧れの選手権にどうしても出場したくて、根拠のない自信を胸に最もサッカーに熱を注いだ3年間だったと思います。朝から晩までサッカーのことだけを考える毎日を過ごしていましたね。しかし結果は、目標には全く届きませんでした。悔しい気持ちが溢れました。しかし、あなたはここで止まるわけには行かなかったですよね。何故なら高校入学すると同時に、大学ではレベルの高い環境にチャレンジすると決めていたからです。この選択では多くの人に助言して頂き、両親にお願いをして日本トップレベルの大学サッカーに挑戦することを決めましたね。高校で更に自信をつけたあなたは、入学後まさか伸び切った鼻を真っ先に折られることになるとは知らず、期待を膨らませ高校を卒業しましたね。

 

そしてサッカー人生で最大の楽しさと最大の苦しさを感じることになる大学サッカーのスタートです。練習は毎朝6時15分から行われます。この早朝練を4年間やり切ったあなたを先ずは褒めましょう。グラウンドにはJユースや名だたる強豪校の練習着を纏ったメンバーが100人以上集います。その様子はまるでブランドを見せつけ、プライドがぶつかり合うかのように貧弱者のあなたの目には映り、嫉妬心を隠すかのように振る舞いましたね。そんな弱い気持ちは入学後のプレーにも出ていたのでしょう。1年生2年生のときはほとんど試合にも絡めませんでしたね。ここでサッカー人生初めての挫折です。チームに必要とされていない。練習に行くのが怖い。ボールを受けるのが怖い。本当に自分はサッカーが好きなのか。これまで感じたことのない感情が次々にあなたを襲ったことでしょう。しかし、3年生になってからは右肩上がりでサッカーの楽しさを感じるようになりましたね。そのきっかけは間違いなく仲間でしょう。何がきっかけでここまで仲良くなったかは未だによく分かりません。しかし、4年生になってからは特に仲が深まり、今ではあなたの人生においても、とても大切で大好きな人になったことは間違いないでしょう。あなたはこの人達のお陰でサッカーの楽しさを思い出すことができました。気付いた時には、みんなと試合に勝ちたい。抱き合って喜びたい。チームに貢献したい。あの時とは真逆の感情が沢山湧き出ていました。この気持ちでプレーをしている時間は何にも変え難い幸せすぎる時間でした。最後の1年はその仲間と目標に向かって奮闘したものの目標には届きませんでした。と同時にあなたのサッカー人生も終了しました。あなたが幼い頃から語っていた「プロサッカー選手になる」夢も結果的に叶えることができませんでした。思い返せば目に見える良い結果は、大学サッカーでは何も残すことができませんでした。それでも結果以上に大切な仲間と出会うことができましたね。これは一生の財産です。

 

何も残せなかった結果も人生という大きな括りからすれば過程に過ぎません。これまでの人生を振り返っても後悔が全く無いように思っていても、人生後悔が一つもないことなんてない。だからこそ、また挑戦しようと思える気がします。人生死ぬまで夢追ってなんぼです。また新たな夢に向かって今この瞬間からスタートです。これからも上手くいかないことは沢山あると思うけれど、試練を乗り越える術はサッカーが全て教えてくれました。どんなときも自分に自信を持って胸を張って生きてください。

 

これからあなたは18年間のサッカー人生に終止符を打ち、新たな人生を歩むことになります。この大きな節目で家族には感謝の気持ちを伝えることが大切だと思います。
18年間のサッカー人生を支え、応援して頂き本当に感謝の気持ちで一杯ですね。感謝すると同時に、ここまで苦労も面倒も沢山かけ、期待もして頂いたのにも関わらず、夢見させた姿や結果は見せることができなくて本当に申し訳ない気持ちも沢山あります。大学の苦しい時期に「最近どう?」と、何度も電話で気にかけてもらいました。心配の電話は嬉しい反面、すごくプレッシャーでもあり、その度に良い報告ができない自分が情けなく状況を誤魔化してごめんなさい。辛かったことなんて星の数ほどあったと思います。それでも小さい頃から夢を追いかけ、ここまでサッカーができ、本当に幸せだったことでしょう。これからどのような形になるかは分からないけれど親孝行は必ずしてください。あなたは、自分の人生は自分自身の為にあり、自分が幸せになる為のものと思っているのかもしれませんが、家族を幸せにすることがあなたが幸せになる1つの方法でもあると思います。言葉や文字では表しきれないこの感謝の気持ちは、これからの生き様で表現してください。家族のみんなはこれからも一生大好きで一生宜しくお願い致します。

 

そして18年間のサッカー人生で出会えた全ての方に感謝致します。本当にありがとうございました。

一度きりの人生でサッカーに出会えて良かった。

サッカーに出会わせてくれて本当にありがとう。

 

野村勇太

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